義父にお願いをして配偶者の実家の敷地内に家を建てさせてもらい潟上市に住むようになって28年目になる。それ以前に住んでいたのが秋田市の寺内。借家だったため家財を増やさずに暮らていたので引っ越しは業者を利用せず、義兄姉に頼って軽トラを数回往復させるレベルだったと記憶する。普段から僕の数倍の速さで家事をこなす配偶者は、看護師として働きながら引っ越し業者顔負けの手際で荷物をまとめていたので僕は寺内から何を持ってきたのか、何を捨ててきたのかさえ知らずにいた。いつものようにぼ~っと成り行きを見ていただけだった。
断捨離を意識してか、配偶者はよくモノを捨てるし手放す。僕が買って読み終えた本なんかは30冊程度まで増えるとすぐに「ブックオフ」に売る。多くは文庫本だが中には話題になった本も混ざっているので1回の売却でラーメン屋さんで2人が食べられるくらいの額になる。
昨年辺りから急に運動能力も目も衰えてきた。将来はクルマをヤメて公共交通機関を利用するしかないか、と考え潟上市から秋田市に移ろうかと話し合っている。そんな中、「以前から邪魔だったんだよね~」と配偶者はどこかからLPレコード10枚くらいを持ってきた。「ん?僕の?・・・ボブ・ディランとかキングクリムゾンとか?岡田奈々?(学生時代、大ファンだったのでレコードを持ってる唯一のアイドルだ)」。「ちょっと見てよ。不要なレコードは売るよ!」「プレーヤーがないんだから全部いらないよ」。でも、どんなレコードを保存していたのか気になった。50年程前のものなので「知ってる!」っていう方は殆どいないだろう。10枚はこんな感じ。。。「友川かずき」(秋田出身のソング・ライター。今は「カズキ」とカタカナ表記。10月16日付サキガケ北斗星にも登場。「トドを殺すな」という作品に関する記載だ)「エマーソン・レイク&パーマー(ELPと言ってた)」「サディスティック・ミカバンド(加藤和彦が率いた名バンド)」「タンジェリンドリーム(シンセサイザーのバンド)」「イーグルス(ホテル・カリフォルニアが超有名)」。。。なんか、面白くなかった。ちょった斜に構えたガキっぽいレコード達。「なんじゃこりゃ。売れるわけないじゃん!」と僕。「10円だっていいじゃん。一応持って行ってくる!」「ガソリン代にもなんないゼ・・・」
USOみたいな評価額。なんと全部で「16,800円」。そのうち「友川」のが全部で13千円以上になった。。。配偶者は勝ち誇ったように「買取明細」を僕の鼻っ面にヒラヒラ。「すげぇ、僕ってスゲぇ!」友川のレコードの評価が高いことが嬉しかった。売上金は全て「美味いモン」に化けた。
友川かずきは、三種町出身でたま~に秋田でコンサートを開く。ハートイン・クリニックの佐々木院長先生は彼とマブダチだ。少しだけ「アングラ」の臭いがするけど歌詞には彼一流の「哀愁」や「照れ」そして「怒り」がある。オリジナルの曲もスゴいが詩人の中原中也の詩に曲をつけて唄う「サーカス」や「坊や」はノスタルジックそのまま。機会があれば聞いてみてね~