3月に入った。が、「春」は感じない。1月があまりに暖かかったからか。。。月曜の朝のテレビで「小学生から高校生」の年代の1日のスマホ使用時間の調査結果は「1日6時間超」だと報じていた。驚いた。「学習に関すること」「家族や友人とのコミュニケーション」が各1時間程度。で、4時間以上が趣味に関する時間。これに「電子書籍での読書」が含まれているかもしれないが驚きだった。そう言えば昨年秋に報じられた「月に1冊も読書しない人は6割超」のニュースを思い出す。。。僕もコロナ禍での行動自粛時期の読書量に比べると顕かに読む冊数が減っているが。
今回は、僕が本と出合うきっかけになったお話をしたい。。。多くの場合、僕は文庫本を買う。「安いから」が一番の理由。「持ち運び」に適するから、が第2の理由。そして「文庫本化」されている作品は、長年読み継がれていることが多いので「ハズレ」が少ないというのも大きな理由のひとつだ。
今年に入って読んだ中にはなんと「ごんぎつね」(新美南吉著)がある。何故そのトシで?と思われるだろうが、実はこれが思い出の作品なのだ。。。大昔、確か小学4年生の頃。それまでは「理系男子」と思い込んでた。(まぁ、その頃までの算数なんかは多くの人にとって得意科目だったろうが)ウチには本好きな母と姉がいた。が、全く本なんかに興味はなかった。20巻くらいの「少年少女世界の名作文学全集」が本棚に並んでた。「アラビアンナイト」や「クオレ・愛の学校」などのタイトルがあった。当然、そんなの1冊も読まずにいた。
或る日の国語の授業。「ごんぎつね」に出会った。今と違ってワンコやニャンコを家の中で飼うという習慣があまりなかった時代。動物への愛着が薄い時代。たまたま貰った「ピヨ」と名付けた手乗り文鳥がいた時期。「ごんぎつね」にショックを受けた。「いたずら」をして後悔した子ぎつねの「ごん」がお詫びに山の幸をせっせと「兵十」に運ぶが、また「いたずらに来た」と思った兵十に撃たれてしまう。「ごん」が持ってきた山の幸を見つけた兵十が呆然と銃を取り落とす、というお話。教科書に載ったその作品の感想を書け、という授業。そこで(記憶では)「僕のせいでお母さんにうなぎを食べさせてあげられなかったんだね、ごめんね兵十」みたいな短文を書いた。先生が絶賛してくれた。その日の国語の時間だけは大ヒーロー!で、勘違いしだした。風邪をひいて寝てなきゃなんない時などにはウチにある本を読みだした。挙句、その8年後にはブンガクブニホンブンガクカに進むことになる。
50数年ぶりに「ごん」や「兵十」に会えた。今、このトシでも小4のように泣けた。これを書いてても泣ける。名作である。読み直して大正解。たったの520円でこんな感動を味わえるなんて他じゃない。これはブックオフには持っていかずに数年後にまた読んでみよっと。