去る7月9日のサキガケ新聞の北斗星欄には第173回の芥川・直木賞についての記載があった。複数回ノミネートされて受賞に至っていない作家に関する内容だった。存じ上げない作家なのだが秋田県出身の加藤富夫、塩野米松の両氏はそれぞれ4度も候補となったが受賞できず。あの村上春樹も2度候補となったが落選。全く記憶にないので調べたら「風の歌を聴け(第81回)」「一九七三年のピンボール(第83回)」が候補作だった。あっ、7月16日に発表のあった両賞は27年ぶりの「両賞とも該当作なし」だった。。。これを報じるメディアは「出版界」「書店」運営の厳しさに触れていた。そう、最も権威ある両賞の発表時は「本」の売り上げが急増するから、だ。
と、同じ9日のサキガケ社会面に秋田市の有名な商店街への取材記事があった。7月20日に投開票のあった参院選に絡む内容だ。その商店街は「通町」。市内でも有数の「街並みが整備されたオシャレな」商店街だ。老舗の和菓子屋、陶器店、仕出し屋、薬局などが並ぶ。その中の「ひらのや書店」の店主は商店街組合の役員。インタビューに応じ、「本の価格はここ2年で2割以上上がった。生活必需品の値上がりが止まらなければ本にお金を使ってくれない。本を買う人が限られるようになった」。売り上げは20~30年前の半分になったそうだ。(僕は何度かこの書店を利用したことがある…)
一方、少し古い調査だが、昨年秋に文化庁が発表した「国民はどれだけ本を読んでいるか」を調べた結果は次のとおりだ。。。全国6000人(回答3559人)に聞いたところ、「1ケ月で何冊本を読むか?」の回答に ①全くゼロ 約63% ②1~2冊 約8% だったそうだ。5年毎に行うこの調査では前回まで「全く読まない」は40%程度だったが急増したとのこと。その理由は「スマホに時間を取られる」が44%、「忙しくて」が39%。 予想通り「電子書籍」の利用も増えているようだ。その利用者は40%。「紙媒体」38%を抜いたとのこと。。。国民の37%しか本を読まなくなって、そのうちの38%しか本屋さんで購入しないとしたら本屋は火の車だ。
情報をもうひとつ。「出版文化産業振興財団」の調査。「書店のない自治体が全国で27%ある」そうだ。因みに秋田県25自治体中、8自治体で書店がない、という。「読まないから売れない」。だから書店がなくなるのだ。
「物価高」も「忙しい」も原因のひとつというが、僕は「スマホ」の登場が最大の理由だと思う。「YouTube」などの映像は多くの場合「想像力」を要しない。人間の特別な能力である「想像力」を養う「本」を自ら離れ、「AI」に頼ることによりこれも天から与えられた特別な能力「創造力」を捨ててしまうつもりか。近未来は一体どうなるのだろ・・・