人は生まれてから天寿を全うする瞬間まで、運やら天命やらが纏わりついた寿命という名のライフゲージを減らし続ける。このライフゲージは、
どこぞのゲームのように都合よく回復するようなものでもなければ、目に見えるものでもない。レベル(年齢)が上がったら増えるどころか
減るような代物である。10年以上前、某ロールプレイングゲームの回復アイテムである「ポーション」とやらが商品化されたが、ネット情報
ではライフゲージが実際に回復したとの事例は残念ながら報告されていないようだ。
このライフゲージは、大切にしなければならない。不摂生を続けようものなら、減少スピードが加速するのだ。適度な運動を心掛け、
栄養バランスのとれた食事をとり、心穏やかな日々を過ごすことが大切らしい。そして、ストレスはダメ!絶対!
とにかく、なにもしなくても寿命は淡々と減る。ならば、より良い時間を過ごせるように努力し、寿命を減らしたいと思う。心穏やかでいる
ために、喜怒哀楽のコントロールを意識する。家族と過ごす時間を大切にする。ポジティブな思考をもった友人や仲間と交流を深める。
自分に降り注ぐ悪意は突然の雨だと自己解釈し、降りやむまでじっと雨宿り。いろいろと考えて実行しても、自分の不甲斐なさや不可抗力
により「ああ、もったいない生き方をしているな」と落胆することが多々ある。その逆ももちろんあるのだが、そのほとんどが努力や行動の
結果であり、待ちの姿勢では訪れない。
そんな話を妻に熱く語ったことがあったが、右から左に聞き流され、なんとなく相槌を打った後、違和感なく別の話題にすり替えられた。
なんという会話力の高さだ。その横でうちのぼっちゃん(9歳)が「ぼふぅっ」とおならをして「にやっ」とほくそ笑む。この瞬間にも
自分のライフゲージが減り続けているのかと思うと複雑な気持ちになるが、落胆しないのは、大切な家族と過ごす時間だからだろうか。
このエピソードを思い出して文章にしているいま、取り留めのない時間=もったいない時間ではなく、無意識の上質でかけがえのない時間
であると気づいた。もっと、家族や友人と過ごす時間をつくり、大切に過ごそう。それを明日への活力とし、惜しみなくライフゲージを減らそう。
事務部K