僕と配偶者にとってとても悲しいことがあったので、しばらくの間「思考停止」に心掛けた。僕は、いつもあまり読まないジャンルの本を買って読んでみたが、殆ど頭に入ってこない。そこで2冊の文庫本を買った。僕にとって2冊とも4度目。三島由紀夫の「近代能楽集」と村上春樹の「風の歌を聴け」だ。話の展開がわかってるぶん、内容がすんなり入るのでちゃんと読めた。で、感じたことは「2冊ともやっぱり面白いゼ」だった。配偶者の「思考停止法」は、100均で沢山糸を買いこみ、ずーっと編み物を続けている。。。
偶然なんだけど、この2冊は4回ともほぼ同時期に読んでた記憶がある。19、20歳の頃。30代、40代、そして今。読んだ時期ごとに感じ方が違った。以前もお話したとおり、「風の歌を聴け」は文芸雑誌に載ったものを埼玉のH先生(もう教師を辞めると言ってたけどどうしてるかな、先生…)が半強制的に「スゴい新人が出たゾ。読んでみろ!」と渡されたのが最初。それまでの日本文学の枠が完全に吹っ飛んだ「夏の海(しかも日本海じゃない!)の香りがする」国籍不明感があった。(去年読んだ小川洋子さんの「ブラフマンの埋葬」も国籍不明感満載で最高でした)2度めは、僕の5才下の親友ケンにこの本を薦めた時に読み返した。ビールとギムレットと「ジェイズバー」のマスターのような友達が欲しくなった。次は職場の飲み会で「ハルキ」が話題になって若いコに「読め」と薦めた関係上。ん?なんかあんまりしっくり来ないゾ、という違和感を持った。これを読むべきは若者なんだな、と思った。で、今回はそれを確かめようと思った。自分自身「断捨離」を心掛けだしたからだと思う。そう、今回も「面白い」と思わなかったらこの作品を封印しよう、と思ったのだ。でも、違った。前回の違和感はなんだったのかわからない。もしかして、トシを取りすぎて「子帰り」傾向にある?今回は「ジムビーム」をロックで飲みたくなった。あ、それとポテトフライ。カリカリになってるヤツ。
もう1冊、「近代能楽集」について。僕の姉が三島ファンだったことからこちらも半強制的に「面白いから読め!ブンガクブなのにミシマを知らん、じゃ恥ずかしいべ」とのお言葉をいただき渡された。文句なしに面白い1冊。2度めは前述のケンが僕の誕生日に「そんなに面白かったと言うならもう1度読んでみれば」と言って、居酒屋で渡された。(ケンとは呑みながらよく本の話をしていた)「風の歌を聴け」と同時期だった。それで3度目は「風の~」を読んだから、という理由で購入。今回も含めて4度とも「面白い」、だ。ただ、「近代能楽集」は8つくらいの作品が載ってる。読む度にその中のNO1作品が変わる。どの作品も面白いという証拠。今回は「班女」。以前は「綾の鼓」だったり「道成寺」だったり・・・
遅読の僕でもあっという間に読み終える2冊。僕はたぶんまた10年後くらいに読み返すんだろうな。いつもは、読み終えた本がある程度溜まるとブックオフに持ち込んじゃうんだけど、この2冊は寄せとこうかな~