半年ほど前、仙台に試験を受けに行く機会があった。そこで、ふと、友人が仙台の専門学校を卒業したなと思い、仙台市内の地理に詳しいだろうし、運転手をしてもらって試験前日入りし、試験後は観光しつつ帰って来ようかと思った。
友人に、交通費と格安のカプセルホテルの費用を出すから運転できない?と、話をした。「嫁さんがOKしたらなぁ、仙台に遊びに行きて~!!」とのこと。その後、彼は戦々恐々と奥さんに確認し、何とか許可をもらうことができた。その後は、わくわくしつつ仙台市内でどうするかずっと予定を考えていたようであった。
出発当日、友人はわくわくしすぎて寝られず、当初の予定より早めに連絡があり午前3時頃に出発、色々と寄りつつチェックインし、荷物を置いて試験会場までのルート確認のため地下鉄へ乗った。地下鉄で数駅、試験会場まであっという間に着いて、ルート確認はすぐに終わった。時間に余裕もできたので「昔住んでいた辺りを案内して」と友人にお願いし、昔友人が住んでいた辺りを散策がてらぶらぶら歩くことにした。散策中、友人は「この道路昔無かった」、「ここの道はよく通学で通っていた」等々、追憶にふけり感慨深そうに話しをしていた。そして、昔住んでいたアパートに着いた際に「このアパートだ!まだあったー!」と、大きな感動とともに過去の生活の記憶も沢山甦ってきたようであった。その後もぶらぶら散策して、友人は「今回、来てよかった~」、「専門学校時代の思い出とか、その当時のこと振り返れてよかった~」(そんなニュアンスで)と、このコンビニとか定食屋も良く行っていたなぁなど、その後もしみじみと散策していた。
仙台へたまたま誘った形だったが、偶然にも友人の思い出の地を巡ることになった。そして、追憶や回顧している姿を見て連れてきてよかったなぁという思いと、思い出のおすそ分けでノスタルジーを感じるいい気分になった。学生時代の楽しい記憶というものは、色あせてもいい思い出のままで、現地に行くと色あせた思い出に一気に色づくものなのだなと、友人を見て自分も学生時代の場所を改めて巡りたいと感慨深く思った
人生において、学生時代に限らず過去やノスタルジーに浸れる場所を一つでも持てるということは幸せなことかもしれない。
そして、その後偶然にもとある機会があって学生時代の地を巡ることができたのであったが、その際には過去の思い出が甦って来て、なんとも言えない、戻りたくても戻れない過去と現在の揺らぎのような染み入る気分になったのでした。
さて、このコラムを読んでいる読者の方で振り返って過去を除きたくなるような思い出の場所があるのであれば、元気なうちに改めて巡ってみるのはどうでしょうか。無くなったお店や、まだあるお店が見つかったときの思いや、もう戻れない懐かしい過去への郷愁の気分はひとしおかもしれません。
※なお、その後の試験は無事合格して安堵しました。
事務局T