私が家を建てて1年半がたつ。
五城目町の田舎から結婚を機に外旭川のアパートに住んだ。
それから子供が小学校へ上がるのを機に今の将軍野に家を建てた。
住み始めてすぐ近所の家に挨拶まわりに行った。定番の粗品「フェイスタオルと洗剤」を紙袋につめて、定番の挨拶「近所に引っ越
してきたKです。これはつまらないものですが・・・」と配ってまわった。近所付き合いが深い田舎で育ったせいなのか、挨拶に行って
もなんとなくそっけない人たちばかりだと感じて、嫁と一緒に市内の人は冷てぇなとしゃべりあったのを覚えている。けど、住んで
みると全然違ってみんないい人ばかりだった。隣で畑をやっているご夫婦は、沢山取れたからどうぞと野菜をくれるし、向かい
の家の造園屋のおじいさんはうちでは使わないからとわざわざ適当な長さに切った薪をくれる。自分もお返しにと実家の野菜や山菜を
あげたりする。実家の田舎では、そんなやり取りがしょっちゅう行われていたが、ここでこんな物々交換というか幸せの分かち合いが
行われるとは思わなかった。
さて、さっき薪をくれると言ったけど、私の家は薪ストーブだ。これは自分が家を建てる時には絶対やりたいと思っていたこと。
というのも、私の実家でも薪ストーブを使っていて、それに慣れ親しんできたからだ。寒くなれば家族でそれを囲みながら楽しく
過ごしてきた。
自分の家が薪ストーブだというと、薪はどこから持ってきてるの?とかその生活について聞かれることがある。薪の入手先は、さっき
言ったみたいに向かいのおじいさんからもらったり、実家から運んでいる。で、私の実家ではどうしているかというと、知り合いから
もらったり、山の木を切ったりしている。じゃー、タダでいいねということなのだが、その木を機械で適当な長さに切った後、薪割り
をしなくてはならない。これがとてもとても骨の折れる作業だ。若い自分でも腰が痛くなるし、汗びっしょりになるしで、終わった後
のご褒美のビールでも冷やしておかないととてもじゃないがやれる仕事ではない。そうして作った薪を薪棚に積んでよく乾燥させ、
晴れてストーブへ投入という具合になる。
初夏に今年焚くための薪を軽トラで6台分運んだ。庭を囲むように薪棚に並べたが、苦労したこともあって薪を見てるだけでにやけて
しまう。また、実家にいるときはなんとも思わなかったが、風が運ぶ薪の匂いもとてもいいものだ。寒い冬にこの薪を焚いて、
ストーブで踊る炎を見ながら熱燗を吞むのが楽しみだ。薪割りは大変だし薪ストーブも高い買い物ではあったが、この幸せがあるの
なら毎年頑張れる気がする。
と、ここまでを読んで、金と労力を使ってよくそんなことするよなと思った人もいるかもしれません。木の香りが好きだったら100均
でアロマでも買ってればいいし、だいたいただの酒好きじゃないかと。まぁ、おっしゃる通りかもしれません。でもお酒を飲まない人
でも、実際、薪ストーブにあたれば体の芯から温まるし、ゆれる炎を見ていると心も落ち着いてくるし、きっと薪ストーブの虜になり
ますよ。興味が湧いた人は冬にでも是非遊びに来てください。おいしい料理を準備しておもてなしします。あっ、その時は是非日本酒
等を持参していただければ幸いです。これもまた物々交換、幸せの分かち合いということで。
会計課 Kでした。