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スタッフコラムStaff Column

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  1. 2023/10/19スタッフコラム

    〇まPの裏庭  「孤」と「独」を考えてみた。 

    前回、秋を感じたことを書いていた。秋は深く物事を思考するのに適した季節。白秋の「白」は「透明」という意味だそうだ。早朝の肌寒い、澄み切った空気の中といったイメージか。。。などと思い巡らせていたら、ふと「孤」と「独」という漢字が頭の中に現れた。前回お話した「白秋」の「静かな境地に生きる時期」が頭のどこかに残っていたようだ。この2つの漢字はどれも「ひとり」という意味を持つ。これらで2字熟語を考えてみた。

    「孤」=孤独、孤高、孤立、孤食。(最後の「孤食」は今っぽいでしょ⤴我ながらよく出たと自己満だ) 「独」=独立、独学、独身、独自、独歩。 並べてみるとこの2つの漢字の持つ傾向がわかるような気がしてくる。

    「独」は独立独歩や独自など、前向きな(力強い)イメージ。「孤」は孤立、孤食など他者との関係や距離が絶たれた寂しげなイメージ。 例えば・・・尾崎放哉のあの超有名な句、 咳をしても一人 の「一人」はどっちの漢字が相応しいか。 「孤り」に置き換えてみると寒い何もない静寂の中「コホン」と咳をするが他に全く音がない。そんな状況がイメージされる。

    調べてみた。「独」と「孤」の英単語は何が当てはまるかを。「一人」=one 「独」=alone 「孤」=lonely 「個」=personal が適当なようだ。納得できた。

    僕自身、「独」と「孤」の体験があったか、の記憶を遡ってみた。親元を離れ、東京に一人で暮らし始めた18歳。中学の頃から大学は絶対東京で、と決めていた分、初めての一人暮らしも満喫できた。何でも自分で考えて行動、自己責任の下で講義をサボったり短期のバイトをしたり。これは正に「独」がピッタリな時期だった。「孤」は・・・以前も書いたが高校が一緒だったO君は工学部にも拘わらず週3~4日を僕の部屋で過ごしていた。が、確か2年生のある時期、風をひいてしまい、感染るといけないのでO君に来るな、と伝え1週間学校にも行かず部屋で寝ていたことがあった。熱が出て不安だった。医者にかかるなんてことは19、20歳の男の子にとって屈辱的なこと。市販薬を買って寝る。ホリガネ君やフクシマ君にも来るな、としていたので数日間誰とも話さず…いや、晩御飯だけは近所の「高級中華料理の店」に食べに出て注文だけはしてた。(高級、と看板にあるが「焼き魚定食390円、と激安&家族的雰囲気満載だった。店名も「家族亭」だった!) 結構「孤」に強い。何日か会話せずとも「寂しい」とは感じない僕がいた。が、5日目辺りにフクシマ君がやってきた。「感染るから来ないで、って言ったじゃん」「だって、どうせろくなモン食ってないだろ。栄養摂らなきゃ!」とイチゴを1パック差出し、共同台所に行って洗ってきてくれた。東京での4年間でイチゴを食べられたのはこの時だけだった。イチゴは当時、学生では手が出ないくらい高価な果物だった。チクショー、かっこいいゼ、フクシマ君。今思い出してもそう思う。あ、「孤」を語ろうとしたけど、意外にも「寂しい」をあまり感じないタイプかもしれない。ただ、他者の心の機微には敏感でありたいと思う。