今、ものすごい危機の真っただ中にいるようです。ユング先生の言うところの「人生の正午」界隈です。
また、先生は言いました。「人生の午前の法則を人生の午後に引きずり込む人は、心の損害という代価を
支払わなければならない」。そしてレビンソン先生は青年期から中年期への移行を「人生半ばの過渡期」と、
エリクソン先生は「中年の危機」と言いました。中年期は危険がいっぱいなのです。今人生の選択を間違
えると、お先真っ暗なのです。
そしてまさに、私自身がこの状況にいるということです。この時期は体力に加え役割や課題など、自分
を取り巻く環境が大きく変化します。これまでには考えられなかった悩みや葛藤が出現し、自分でもかなり
戸惑っています。「あれ?こんなはずじゃない」「前はもっとやれたよね」と感じることが多くなった実感
があります。学生時代に教わった発達心理学やライフサイクル論など、患者さんに当てはめては悦にいって
いたのですが、一般論としてしかとらえていなかったのもので。改めて先生方はすごいなーと思います。
ありがたいのは先生方、ネガティブなことだけではなく同時にポジティブな側面も教えてくれていること。
それぞれの段階に与えられた発達課題を乗り越えることにより危機を脱し、次へのステップを踏むことが
できることを。そのためにも今一度自分を見つめなおし、再評価し、修正していく作業が必要ですね。
過去の成功体験にとらわれず、柔軟に考えていきたいものです。
孔子先生は「五十にして天命を知る」と言いました。50歳になって初めて自分の与えられた役割を知る、
ということでしょうか。私はまだまだその域には達していません。まずは逃げずに自分の内面(葛藤)と
向き合いこれまでの自分とこれからの自分を、折り合いをつけるのではなく統合していきたい。そうすると、
おのずと天命も知ることができるのでしょうか?
さて、最後に中国の五行説では私の年代は「白秋」と言われます。人生の「秋」です。これまでに種を
蒔いたものの収穫の時期でもあります。成った実は、全て自分のしてきたことの結果なのです。そう思う
と不安でもありますが、楽しみでもあります。
老いるということは、未知であり、自分が自分でなくなるようで怖いところもありますが、早く天命を
知って人生の後半を充実したものにしていきたいなあと思います。
(翠香苑 S)