過日、秋田県病院協会の研修に参加した。まだ6月だというのに、県南はこんなにも日差しが突き刺さるのかとめまいがした。
研修では「心理学的視点から考えるメンタルヘルス対策」と題した講演があった。秋田県産業保健総合支援センターの
戸田麻美先生(臨床心理士)を講師にお招きしての講演である。職場での人間関係は上下関係がつきまとうし、本音を話すには
ハードルの高い関係性のひとつであるとした上で、相手の考えや感情について否定や肯定ではなく「関心」をもってありのまま
に受け容れる姿勢で臨む受容的態度について触れられた(言うのは簡単でも、難易度が高い!)。また、相談=解決ではなく、
「まずは聞きましょう」と予め伝えて、「あなたと一緒に困りごとを共同で作業している」スタンスで入ること。荷物を2人で
持ったら軽くなるのと同じで、「わかってくれる人がいる」だけで救われることがあるという。言葉で定義することで
「腹立たしい」といった感情が芽生え、形がはっきりすると人は戦いやすくなるとのことである。
また、普段からできるコミュニケーションをよくするための工夫として、①姿勢をよくして前を向く、②人は「ありがとう」と
言われると自信がつく、③笑顔、④「どうでもいい話」が実はその人らしさを形作るし、アイデンティティが揺らぐとメンタル
不調に繋がる——などのポイントを教わった。そして、「ちょっと調子悪いんだよね」と言える環境を作れるかが大事である、と。
職場のメンタルヘルス、患者さん対応、家庭でのひとコマ、ちょっとした工夫でなんとなく活用できそうだなと感じた矢先、
一本の電話。傾聴していたら電話の相手は「私は戦いたいんです!」と力強く言った。話を聞いて一緒に考えたい、あなたを
大切にしたい、そんな気持ちが少しでも伝わったのだとしたら嬉しい。
最後に、永く仁政会に尽力してくれた友人が新たなステージに駆け上がっていく。「飛ぶなら今かな」と挑戦する姿勢に敬意
を表すとともに、同期として複雑な思いを抱きつつ見送る彼女にも、また敬意を表したい。「ありがとう!」
事務部 M