「1日が24時間じゃ足りない」と日々感じている私ですが、家事・育児(介護)・仕事の合間に読書をする時間を作る努力をしています。
最近読んだのは『ケーキの切れない非行少年たち』と、続編である『どうしても頑張れない人たち』の2冊。
児童精神科医である著者は、少年院等で多くの非行少年たちと面接する中で、認知能力が弱く『ケーキを等分に切る』ことすらできない少年が
大勢いることに気づきます。凶悪犯罪を行った少年にその理由を尋ねても、難しすぎて答えられないのです。更生のためには自分の行いと向き合い、
被害者のことを考えて内省し、自己を洞察することが必要ですが、そもそもその力がない、反省以前の少年がたくさんいたのです。
その問題の根深さは、普通の教育現場でも同じでした。こういう少年は小学校2年生くらいから勉強についていけなくなり、やがて学校に行かなく
なり親を困らせ、家庭内だけでなく、外でも問題を起こすようになります。境界知能だったとしても気付かれることなく、ただ厄介な子として
扱われるだけです。そして必要な支援が受けられず手に負えなくなった子供たちが最終的に行きつくところが少年院なのでした。この本では、
人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当てて、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように適切な支援に繋げるための
知識と技法を公開しています。
私たち大人(支援者)が、未来ある子供たちに関心を持ち、サインに気付き対応することが何より大切であるということ、また改めて学校教育の
難しさ、教師への期待とその負担の重さも感じました。親も学校任せではなく、このような書籍などで知識を得ていかないといけないと痛感
されられる2冊でした。
20年以上精神障害者(認知症含む)の支援に携わっていますが、私が主に関わってきたのは大人であり、子供に関してはほとんど知識がありません。
この度、子供食堂の開設に携わることになり、初めて子供の支援という分野に足を踏み入れることになりました。子供を支援するためにはまずその
親を支援する必要性があることも踏まえ、また、改めて「学校では気付かれない境界知能の子供」「密かにSOSを発している子供」も存在すると
いうことを理解した上で、今サインが出ている可能性も考えて関わっていきたいと思います。
やわらぎI