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スタッフコラムStaff Column

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  1. 2023/11/02スタッフコラム

    〇まPの裏庭  ん? 勝又浩? 仰天! 

    藤沢清蔵という作家を初めて知った。 昨年辺りからあの有名な齋藤孝さん(明治大学教授)の書いた本を読む機会が増えている。同世代だから、なのか共感する点が多くて書店で目にするとすぐに購入してしまう。彼が「面白いから読むべきだ」と紹介する本も読む。僕の苦手な長編の翻訳もの「カラマーゾフの兄弟」も読んでみたし、以前読んでいたもの「李陵・山月記」もそうだ。で、「西村賢太」の「小銭をかぞえる」という本も推薦してた。「西村」は芥川賞作家だから名前と顔(写真)、受賞作品名は知ってた。昨年「亡くなった」との報道があった際も元来ミーハーな僕は「じゃあ、読んでみようか」がフツーなのだが、「大きな体躯、ひげ面、整えない髪」という風貌が「苦役列車」(芥川賞作品)を手に取らせなかったという経緯がある・・・

    が、齋藤孝さんの薦めなのだから面白いに決まってる、とばかり「小銭を~」に飛びつこうとした。しかし、超有名な「苦役列車」を知らずに周辺作品から入るのは如何か、と思い直した。。。完全なる私小説。太宰治とは全くニオイが違うが、恐ろしいほど読者に迫ってくる感がスゴい。表現方法や用いる言葉が「今」ではない。少し前の日本…う~ん、嫌いじゃない。というより「好き」の部類。続けて「小銭をかぞえる」を読む。これもまた立派な私小説。自分の内側を吐露し、それ故苦しみもがく系。やっぱり嫌いじゃない!・・・以前も書いたけど、僕の卒論テーマは「深沢七郎」。私小説作家ではないけど少しニオイが似てる。ギタリスト、作家、牧場経営などいろんなことをやって生きたヒト。「東北の神武たち」なんかは特にダブる。

    で、冒頭の「藤沢清蔵」。大正時代の私小説家。東京芝公園で凍死するなど、昔のダダイズム系っぽい作家のようだ。西村は作風が一緒だったからか、一方的に師と仰ぎ(当然、亡くなっているヒトに師事することはできないので「一方的」ですね)全集の編纂に関わったそうだ。僕にはどうでもいいので「ふ~ん」って感じ…でも面白くてタイトルにソソられて「どうで死ぬ身のひと踊り」という文庫本も読んだ。。。

    いつもは文庫の巻末にある「解説」は読まない。が、ふと(ホントに偶然だ)「文芸評論家 勝又浩」という活字が目に入った。ん?…「かつまた?」「評論家?」で、ネットで調べてみた。驚いた。僕の「ん?」は正解だった。彼は僕の卒論の担当講師だったのだ。40年前。当時まだ40代。その後教授にまでなって、評論家。ホリガネ先生は超メジャーな小田切教授、フクシマ君はこれも双璧と言われてた西田教授のゼミだった。僕は「深沢」を受けてくれる勝又ゼミ。あの穏やかで優しい口調のカツマタ先生が名誉教授に・・・僕に「深沢の次は藤沢周平の研究文を読んでみたいです」と卒論面接で仰った。「え?卒論留年ですか?」「いいえ、社会に出てからも勉強できますよ」そんな素敵な先生だった。まだお元気なのも嬉しいが、たった19歳しか違わなかったのには今更ながら驚きすぎた。