WBCが閉幕。予想もしなかった感動の多い大会になった。JAPANチームが歴代最強のメンバーを集めたことは知ってた。だがアメリカもこんなにマジで大会に望んでることすら知らず、「どうせ、韓国との試合以外盛り上がらないサ」などと考えていた。ところが、参加したどの国の選手もアツかった。真剣なプレーは観衆の感動を呼ぶ。和気あいあいなベンチの雰囲気は周囲の笑顔を誘う。対戦相手をリスペクトする態度は周囲を巻き込みお互いを穏やかな心にする。どの試合のどのシーンもそんな感動の連続だった。スポーツって素敵だな、と改めて感じた。
メキシコとの準決勝とアメリカとの決勝はマンガでしか書けないような劇的すぎるベタな展開となった。もう何度もテレビで流れたが、ヒットを放った大谷が2塁ベース上でチームメイトを鼓舞するシーンや前のランナーを超しちゃう勢いでホームインする周東。決勝の最後の対決が大リーガー最高年俸のトラウトだったり...「なんじゃこりゃぁ!」の連発で日本中は大フィーバー!(ん?「フィーバー」って言葉を知らない世代も多いかぁ)
でも、僕はそれ以外にも強く感銘を受けた。栗山監督が語ったことに。日ハムの監督が長かったので選手時代を知る方は少ないのではないか。実はスワローズ出身。東京学芸大(国立です)出身で教員免許を取得している、と当時話題になっていた。安定した打率と優しいマスクで女性人気はあった。スワローズの黄金期を過ぎてから登場したのであまり知名度はなかったように記憶している。その彼がWBC代表監督になるなんて全く想像すらできなかった。あの「最強メンバー」を擁しての大会は物凄いプレッシャーだったろう。大会後のインタビューはテレビで広く伝えられているが、新聞の「ひと旬」というコーナーに載っていた2つの言葉が印象に残った。「自分に能力がないことは分かっている。だから一生懸命にしないといけない」。ドラフトに掛かったわけでもなく「入団テスト」を経てプロ入りした彼は「能力」の高い周囲を強く実感しただろう。「努力」こそが生命線だったのだろう。そしてこう言うのだ。「今後ユニフォームを着る気はない。若い人のために場所を空けておいてあげないと」。散り際の潔さ、が侍。奇しくも日本は桜満開の季節。「散る美」を好む日本の心に深く共鳴する。僕を含めてトシヨリは晩節を汚してはいけない(僕の場合は晩節というほどのレベルの人間じゃないケドね~)。大会後も感動させてくれるWBCだった。