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スタッフコラムStaff Column

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  1. 2024/02/15スタッフコラム

    〇まPの裏庭  正常性バイアス、再び

    中学時代、森村桂と星新一をよく読んでいた。星新一は今でも本屋さんの文庫本コーナーに並んでいる。日本のSFショートストーリーの先駆けであり大御所。森村桂は若い方は殆ど知らない名前だと思う。映画「天国に一番近い島」の原作者。学習院大学出身の彼女の作品にはよく目白や高田馬場の学生街が描かれていた。14歳だった僕に「大学は絶対東京に行くゼ」と思わせた作家だ。。。

    あ、星新一のことに触れようとしてたのにまたずれちゃった。本のタイトルは忘れちゃったけど、今思えば「正常性バイアス」のことを話している作品があった。こんな感じの物語。 或る惑星に徘徊する男がいた。そこは他の星と戦争中。強力な爆弾で猛烈な攻撃を受け、その男は逃げまどっていたのだ。あちこちに爆撃の跡が残る風景を目の当たりにして身も心も疲れ切っていることに気づく。攻撃の手を緩めない敵に男はふと思う。「1度落ちたところにはもう爆弾は落ちない」。男は爆撃で開いた穴に横たわる。そこに爆弾が・・・ というお話。読み終えた時、僕は確かに「僕もそうした筈だ」と思っていた。50年後の僕も同じように思う。「同じ不幸は繰り返さない」と。。。

    2月6日付のサキガケの記事。能登半島地震の際の大津波警報後のNHKアナウンサーの「今すぐ逃げること!決して立ち止まったり、引き返したりしないこと!」と絶叫とも取れる呼びかけが繰り返されたことについて、書かれていた。国民の多くはそれを耳にした筈だ。命令口調で、そこに留まらず逃げるよう訴え続ける女性アナ。ヒステリックにさえ聞こえていたが途中、絶句し別のアナに代わっていたと記憶している。。。世論はいつも二分する。この場合も例外ない。2つの異なった評価。ひとつめは、「正常性バイアス」(自分だけは大丈夫、という根拠ない思い込み)により避難行動が遅れ、失われた命が多かった東日本大震災を教訓に、強く行動を促したことは良かった。もう一方は、呼びかけが感情的すぎると「恐怖心を煽って」ケガに繋がってしまう、パニックを引き起こす原因になってしまう、だ。

    どちらも一理あると思う。が、僕は前者の意見に賛成。僕自身「まあ、大丈夫でしょ」に基づいて生きてきたように思う。焦ったような行動はカッコわるい、命根性が汚いと思われちゃいそう、などと思ってしまう。「強く」促されると「そこまで言うなら、仕方ないなぁ~」と言いながら指示通りに行動しそう。結局「従う」のだから多分、それに救われる命のひとつが僕、じゃないかなと思う。

    僕が生まれるず~っと前から平和に過ごしている日本。だが、第3次世界大戦も大災害も「ない」と言い切れない昨今。島国日本は長いこと「平和ボケ」。そろそろ本気の危機感が必要になってきた感が否めない。